チャイナ・プラス・ワン

カンボジアのアパレル産業における雇用形態<2017年>

 

カンボジアのアパレル産業は輸出売上の約80%を占め、約70万人の労働者を擁しているにもかかわらず、有能な労働者を採用することが依然として大きな課題となっている、とThe Asia Foundationはカンボジアのアパレル産業の採用実務に関する調査において指摘した。

プノンペン周辺の52の縫製工場で働く人事マネージャーとのオンラインまたは電話インタビューによると、縫製や品質管理などの技術スキルを備えた労働者だけでなく、監督やチームリーダーなどのリーダーシップスキルを満たす労働者の採用にも苦労していることが示された。例えばどのポジションの採用に最も時間を割いたかについて人事マネージャーにヒアリングしたところ、回答者の45%が縫製労働者、43%が監督、36%がチームリーダーと回答した。

労働者を募る最も一般的な方法は工場の前に並ぶ人々から選び出すというもので、調査回答者の98%がこの方法を採用していた。次に採用担当者が労働者を雇用するのに用いる一般的な方法は、自社従業員からの紹介を受けるというものである(81%が採用)。

これらから、アパレル産業における現在の従業員募集実務は非常に非公式なものであり、また非効率であると分かる。採用活動において望ましいのは、工場が大量の候補者の中から労働者を選別することであるが、実際自由で非公式な方法に大きく依存していることで、技術力のある労働者を見つけることは難しい状況となっている。また従業員のスキル不足の原因の1つとして、業界における高い離職率が挙げられる。離職率を開示したところによると、平均離職率は1年で約44%であったという。このことは多くの労働者が、高度なスキルを獲得するのに十分な時間を費やす前に離職していることを示す。

この調査ではまた、情報発信の必要性が増していることを示した。採用活動において何が最も有用か尋ねたところ、人事マネージャーの19%が工場内で働く従業員やラインマネージャー、またはより良い生活を求める労働者が居住する地域に情報を配信するなど、適切な情報発信の必要性を挙げた。その他の回答者ら(13%)は、トレーニングセンターを設置するなど、労働者にトレーニングの機会を提供することを優先すべきとした。

 

未成年者採用の可能性

またこの調査では、工場の人事マネージャーらは未成年者を採用するリスクに晒されており、貧困がアパレル産業において児童就労をもたらす主な原因となっていることを示した。労働者を募集する際に直面する課題を尋ねたところ、回答者の29%は労働者が法定年齢に達していることを証明するために工場が要求する国民ID、戸籍などの書類の信憑性確認に困難を感じており、多くの労働者が書類を他人から借りたり、実際の年齢を示していないIDを使用したりして仕事に応募してくるという。フォローアップの電話インタビューの中である人事マネージャーは、「私は、応募者の5%は未成年者であると推測しています。彼らに質問すると、生計をたてるため年齢をごまかしてでも仕事に就けるようにしたいのだと言います。私はこうした応募者が18歳以上でないとすぐに分かります。兄弟姉妹の年齢や学校について突っ込んだ質問すれば、彼らがそうでないことはすぐ明らかになります。」と言った。

この調査結果は、NGOや労働者権利運動家の問題意識とも呼応している。2015年にHuman Rights Watchは、そのレポート「幼くして働くか出て行け」の中で、カンボジアのアパレル産業で蔓延している児童就労を取り上げた。工場で子供たちが働くのを見るという労働者らは口をそろえて、「訪問者」が来る日には、マネージャーが児童らに隠れるか工場から離れるよう指示していると詳しく説明した。

 

採用パターン

縫製労働者の雇用には季節変動があり、もちろんブランドからの注文ボリュームにも大きく左右されるが、ある程度はカンボジアの休日や収穫時期にも影響を受ける、とこの調査では指摘した。ほとんどの雇用は5月と6月に行われ、4月と9月は労働者の新規雇用が最も難しい時期と言われている。 4月はKhmer New Yearのお祝いの時期であり、9月は15日間に及ぶ仏教のお祭であるPchum Benの月で、両方ともカンボジアにおける最大のホリデーシーズンである。労働者らは伝統的に、こうしたホリデーシーズンに長期間の休暇を取り、休み明けに新しい仕事を見つけるという。

採用は比較的迅速に行われており、42%の回答者があるポジションに従業員を雇うのに2~3日、15%が1日、13%が1日未満と回答した。

これらの調査結果は、カンボジアのアパレル産業における雇用実務のほんの一部分を示したものに過ぎないが、この業界をよく理解するための調査研究に寄与するものであり、安全で公正な職場環境を整備し、アパレル業界を支える労働者のために経済成長を実現することを後押しするものである。

 

Menghun KaingはカンボジアのThe Asia Foundationのプログラム責任者であり、ここでの見解や意見は、The Asia Foundationやその資金提供者のものではなく、著者によるものである。

 

出典:http://asiafoundation.org/2017/03/29/hiring-patterns-cambodias-garment-industry/

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